「かゆくないから、そのままにしている」「見た目を気にしないからそのままで良いです」
——水虫(足白癬)や爪水虫(爪白癬)について、そうおっしゃる方は少なくありません。国内の調査では、足白癬はおよそ5人に1人、爪白癬はおよそ10人に1人にみられるとされ、決して珍しい病気ではありません。
ですが皮膚科医の立場から言うと、水虫は「かゆいから治す」病気ではありません。かゆみがなくても治療をおすすめする、はっきりした理由があります。
理由①:細菌の侵入口になり、足が腫れ上がることがある
もっとも重要な理由です。水虫で皮膚がふやけたり、指の間がジュクジュクしたり、かかとがひび割れたりすると、そこが細菌の入り口になります。
細菌が入り込むと、足が赤く腫れて痛みと高熱を伴う蜂窩織炎(ほうかしきえん)という感染症を起こすことがあります。抗菌薬の点滴や入院が必要になる場合もあり、実際、蜂窩織炎で受診された方の足を診ると、水虫が見つかることは珍しくありません。
とくに、糖尿病のある方、足がむくみやすい方、ご高齢の方は重症化しやすく、注意が必要です。糖尿病の方では、小さな傷が足潰瘍に進むこともあり、水虫の治療は足を守るための基本になります。
理由②:ご家族にうつる「感染源」になる
白癬菌は、剥がれ落ちた皮膚の欠片とともに床やバスマット、スリッパに残ります。ご家族が同じ場所を使えば、うつる可能性があります。
ここで見落とされがちなのが爪白癬です。爪の中の菌は塗り薬が届きにくく、長く残ります。足の皮膚だけ治しても爪が”菌の供給源”として残っていると、そこから再びうつって再発する——これが「毎年繰り返す」方に非常に多いパターンです。ご自身のためだけでなく、ご家族のためにも、爪まで含めた治療に意味があります。
理由③:爪の変形が、歩行や転倒につながる
爪白癬が進むと、爪は白く濁って厚く、もろくなります。厚くなった爪は靴に当たって痛み、深爪や巻き爪の原因にもなります。
足が痛いと歩き方が変わり、外出が減る。ご高齢の方では、それが転倒や心身の脆弱性につながることもあります。「たかが爪」と思われがちですが、足元は生活の土台です。
受診前の大切なお願い——市販薬を塗る前に一度ご相談を
水虫の診断には、皮膚や爪を少し採って顕微鏡で白癬菌を確認する検査(直接鏡検)が欠かせません。この検査は痛みもなく、その場でできます。
市販薬を塗ってからの受診にご注意
市販の抗真菌薬を塗った状態では菌が見つかりにくくなり、正確な診断が難しくなります。数日〜1週間ほど中止してからの受診をおすすめします。塗る前にご相談いただけると、遠回りせずに済みます。
もう一つ。「水虫だと思っていたら、水虫ではなかった」ことも実際にあります。足の湿疹やかぶれ、掌蹠膿疱症など、見た目が似た別の病気は少なくありません。この場合、水虫の薬を塗り続けても良くならないどころか、かぶれて悪化することもあります。まず「本当に水虫かどうか」を確かめることが、治療の第一歩です。
治療は保険が使えます
足白癬・爪白癬の検査と治療は、いずれも健康保険の適用です。足白癬は塗り薬が中心で、爪白癬では飲み薬・塗り薬から、爪の状態や持病、飲み合わせをふまえて選びます。
爪は生え変わるのに時間がかかるため、治療には数か月〜1年程度かかることもありますが、途中でやめないことが何より大切です。具体的な薬の違いや費用については、【爪水虫の治療法比較記事へ内部リンク】で詳しく解説しています。
上越市土橋の「はれまちクリニック」皮膚科では、顕微鏡検査による水虫の診断と、足白癬・爪白癬の治療を行っています。「かゆくないけれど、爪が白く濁ってきた」という段階でのご相談も歓迎です。診察のご予約はLINE・Web予約からどうぞ。

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