1. 火傷の深さをチェックしましょう
火傷は、皮膚のどこまでダメージが及んだかによって3つの段階に分かれます。ご自身の症状がどこに当てはまるか確認してみてください。
[火傷の深さと症状の比較表]
・1度熱傷
損傷の範囲:表皮(一番浅いところ)
症状:赤み、ヒリヒリした痛み
治り方:3〜5日で跡形もなく治る
・2度熱傷
損傷の範囲:真皮(皮膚の深いところ)
症状:強い痛み、水ぶくれ(水疱)ができる
治り方:1〜4週間。深い場合は跡(瘢痕)が残る可能性がある
・3度熱傷
損傷の範囲:皮膚の全層、脂肪組織まで
症状:白っぽくなる、または焦げて黒くなる。逆に痛みを感じない
治り方:自然には治りにくく、手術(皮膚移植など)が必要になる
注意が必要なのは、低温やけどの多くが「見た目は赤くなっているだけ」に見えて、実は「3度熱傷」にまで達しているケースがあることです。

2. なぜ低温やけどは怖いのか?
低温やけどは、44度〜50度くらいの「ちょっと熱いかな?」と感じる程度の温度に、長時間触れ続けることで起こります。
皮膚の表面は熱を逃がすことができますが、長時間押し付けられていると熱がどんどん奥に蓄積されます。ちょうど「弱火でじっくり煮込んだ料理」のように、皮膚の深い組織がじわじわと死んでしまうのです。
[低温やけどになりやすい主な原因]
・寝る時の湯たんぽ、電気毛布
・使い捨てカイロの長時間使用
・こたつでの居眠り
・スマートフォンの充電中の発熱(膝の上など)
特にお年寄りや糖尿病の方は、熱さを感じにくいため、気づいた時には重症化していることが少なくありません。
3. やってはいけない応急処置
火傷をした時、良かれと思ってやったことが逆効果になることがあります。
・氷で直接冷やしすぎる:凍傷を併発し、皮膚のダメージを広げることがあります。
・アロエ、味噌、バター、馬油を塗る:細菌感染の原因になり、治療の邪魔になります。
・水ぶくれを自分で潰す:水ぶくれは「天然の絆創膏」です。潰すとバイ菌が入りやすくなります。
正しい処置は、水道の流水で15分〜30分しっかり冷やすことです。服の上から火傷をした場合は、無理に脱がさず服の上から水をかけて冷やしてください。
4. 跡を残さないための「湿潤療法」
最近の火傷治療では、傷口を乾かさない「湿潤療法(モイストケア)」が主流です。
昔は「傷口は乾かしてかさぶたを作る」のが良いとされていましたが、実はかさぶたは皮膚の再生を邪魔してしまいます。傷口から出るジュクジュクした液(浸出液)には、皮膚を再生させる成分がたっぷり含まれています。
当院では、この液を閉じ込める特殊な被覆材(ドレッシング材)を使い、痛みを抑えながら、より早く、きれいに治す治療を行っています。
5. 皮膚科と形成外科、どっちに行くべき?
・皮膚科が適している場合:
赤いだけ、あるいは小さな水ぶくれの火傷。
お薬による治療や、感染予防が中心となるケース。
・形成外科が適している場合:
顔、手足、関節など、見た目や動きが重要な場所の火傷。
低温やけどなどの深い火傷。跡を残したくない、あるいは手術が必要なケース。
当院では皮膚科専門医として、火傷の適切な初期診断を行い、必要に応じて総合病院への紹介も行います。
結語:重症の方・全身に火傷を負った方へ
当院のようなクリニックでは、軽症から中等症までの火傷の管理を行っていますが、以下のような重症の場合は、直ちに救急車を呼ぶか、救命救急センターのある総合病院を受診してください。
・火傷の範囲が広く、全身の10%を超えている(成人の場合、片腕全体でおよそ9%です)。
・火災現場で煙を吸い込み、声がかすれたり、鼻毛が焦げたりしている(気道熱傷の疑い)。
・薬品(化学熱傷)や、高電圧の電気(電撃傷)による火傷。
・意識が朦朧としている、ショック状態にある。
広範囲の火傷は、皮膚だけでなく全身の管理が必要な命に関わる病態です。迷わず高度医療機関へ相談してください。
小さな火傷でも、冬の低温やけどは油断禁物です。少しでも不安があれば、お早めにご相談ください。

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