こんにちは。はれまちクリニック副院長の小野弘登です。
「爪が白く濁って分厚くなってきた」
それは「爪白癬(爪水虫)」の可能性が高いです。
爪水虫は自然には治りません。また、市販の塗り薬は爪の奥まで浸透しないため、ほとんど効果がありません。
病院で処方できるお薬には「飲み薬」と「塗り薬」があります。
「どれが一番治るの?」
「費用はどれくらい違うの?」
今回は、最新のデータと実際の運用に基づいて、効果と費用を徹底比較します。
まずは「顕微鏡」で診断を
治療の前に一つだけ重要なお話があります。
爪の変化は、水虫以外(爪の変形や乾癬など)でも起こります。見た目だけで水虫薬を使い始めるのは危険です。
当院では、必ず皮膚科専門医が顕微鏡検査を行い、白癬菌がいることを確認してから治療を開始します。
治療薬の比較表(3割負担の目安)
「飲み薬(2種)」と「塗り薬」を、実際に完治を目指して運用した場合の比較です。
| 特徴 | ① ネイリン (最新の飲み薬) | ② ラミシール (従来の飲み薬) | ③ クレナフィン等 (専用塗り薬) |
| 治療期間 | 約3ヶ月(12週間) | 約1年間 (長期間必要) | 約1年〜1年半 (生え変わるまで) |
| 完全治癒率(※1) | 59.4% | 58.5% | 17.8% |
| 薬代の目安(3割負担) | 約15,000円(3ヶ月分) | 約11,000円(1年分※2) | 約43,000円(1年分※3) |
| 血液検査 | 初回と4-6週後の計2回 | 定期的な採血が推奨 | なし |
| 飲み合わせ | 併用注意あり、禁忌なし | 併用注意あり | なし |
| 総合評価 | 治療を完遂しやすい | コスパは良いが 通院が大変 | 飲めない人向け |
※1:各薬剤の臨床試験における、約1年後の「完全治癒(見た目も綺麗になり、菌もいない状態)」の割合。
※2:ジェネリック医薬品を使用した場合の概算。
※3:1ヶ月に2本使用(爪全体にしっかり塗布)した場合の概算。
治療完遂率と効果のバランスなら「ネイリン」
表を見ていただくと分かる通り、「ネイリン」は治療期間が3ヶ月(12週間)で済み、治癒率も約6割と高い水準を誇ります。他の薬との「併用禁忌(絶対に一緒に飲んではいけない薬)」がないため、比較的使いやすいお薬です。
(※飲み合わせに注意が必要な薬はありますので、お薬手帳は必ずお持ちください)
塗り薬は「高くて治りにくい」?
意外かもしれませんが、塗り薬(クレナフィン・ルリコン)は、真面目に毎日塗ると年間4万円以上かかります。
しかも、爪の奥まで成分を浸透させるのは難しく、飲み薬に比べて治癒率は20%以下と低めです。
ですので、当院では基本的に「飲み薬」を第一選択としています。
「塗り薬」がおすすめの場合
もちろん、以下のような方には塗り薬が適しています。
- 肝臓の数値が悪く、飲み薬が使えない方
- 妊娠中・授乳中の方
- どうしても飲み薬に抵抗がある方
- 特定の足爪白癬のタイプ (マニアックな話なので割愛)
「自分にはどの薬が合っているのか?」
患者様の持病やライフスタイル、爪の状態に合わせて最適な治療法を提案します。
自己判断せず、まずは診察室でご相談ください。

【参考文献】
- 皮膚真菌症診療ガイドライン 2025(CQ5, CQ7)
- Efficacy and safety of fosravuconazole L-lysine ethanolate (J Dermatol. 2018)
- 添付文書:ネイリンカプセル100mg、ラミシール錠125mg
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